「決めたら、未来は動き出す」― 岐阜の工場勤務からパーソナルトレーナーへ、若原恭平の挑戦

岐阜の田舎町(村)出身から、地元岐阜での水栓メーカーの会社員を経て、29歳でパーソナルトレーナーへ転身した若原恭平氏。直感を信じた決断と、独立後に見えた現実を取材しました。

取材対象者:Flag Gym(フラッグジム)代表 若原 恭平氏

岐阜県の中小企業で7年間勤務し、主任を経験した後、29歳でパーソナルトレーナーへ転身。当時ベンチャーで急成長のパーソナルジム会社で店長を務めた後、2024年5月に独立し辻堂でフリーランス活動。そして、神奈川県横浜市保土ヶ谷区でFlag Gymを開業し、翌年には愛知県名古屋市にも出店。トレーナー向けスクールの立ち上げも行っている。

田舎で感じた”制限”と、7年勤めた水栓メーカー

若原恭平氏は岐阜県出身。山に囲まれた村で育った。

  • 働き口は製造業、小売業、サービス業が中心で、選択肢は限られていた
  • シングルマザーで、家庭は経済的に豊かではなかった
  • やりたいことがあっても、地理的・経済的な制限で諦める場面が多かった

大学で機械加工を学んだ後、水栓メーカーに就職。デザインやものづくり、生活関連への関心から、水回り製品の金型製作を担う仕事だった。

7年間勤め、主任にまで昇進する。

安定はあった。だが、ある問いが頭を離れなかった。

「このまま、この道でいいのか」

結婚式のための筋トレが、人生を変えた

きっかけは結婚式だった。

体を引き締めたいという理由で始めた筋トレに、若原氏はのめり込んでいく。

  • 食生活・生活習慣が180度変わった
  • SNSでフィジーク・ボディメイクの世界を知り、衝撃を受けた
  • 「どうせやるなら大会に出たい」と思い立ち、実際に岐阜の大会に出場した

結果は関係なかった。ステージに立ったこと自体が、価値観を変えた。

「決めたらやっぱり未来は変えられるんだ!憧れも行動すれば近づける!」みたいな

2019年に初めて大会に出て、2025年には憧れの大会のアマチュア部門で優勝。2026年の今では団体のプロ選手を目指して、自分自身でもアスリートを体現している。

30歳を目前に、若原氏の中である問いが具体的な行動に変わり始める。

直感を信じて、湘南へ

29歳。若原氏は妻とともに湘南へ移住し、パーソナルトレーナーへの転職を決意する。

  • 応募したのは1社のみ。当時社員20人ほどの急成長中ベンチャー企業(今では200人前後)
  • 転職活動を始める前に、7年勤めた会社の上司へ先に退職の意向を伝えた
  • 理由は「後任がいない状態で辞める申し訳なさ」。上司はトレーニングの経験者で、背中を押してくれた

決断の理由を、若原氏はこう振り返る。

「自分の中で本当にやりたいことを仕事にしたいって想いが芽生えた」

家庭環境による制限、地理的な制限。

それらにふつふつと蓋をしてきた反動が、ここで一気に行動へ転じた。

精鋭部隊の中で掴んだ、指名される理由

コロナ禍で現場に出られない時期を経て、若原氏は「指名される理由」を模索し始める。

  • 同僚と同じアプローチでは差別化できない
  • 自分の強み(ボディメイクの実績・機能改善の知識)を掛け合わせることに活路を見出した
  • 管理栄養士・理学療法士など専門性の異なる先輩から学び続けた

ブレークスルーの本質を、若原氏は一言で説明する。

「ヒアリングからお客様の困っている悩みを見つけ出し、そこに対して自分だったらこうアプローチしますという未来をお見せする」

説明から入るのではなく、まず聞く。悩みを引き出し、解決後の姿を見せる。この順番が、選ばれるトレーナーと選ばれないトレーナーを分けていた。

店長として学んだ「管理」という現場外の仕事

2021年、若原氏は前職フランチャイズ1号店となる藤沢店の店長に就任する。

  • 1人で始めた店舗を、スタッフ5人体制まで育て上げた
  • フランチャイズ部門MVP、2023年全国の店長部門でTOP3の成績をいただいた
  • 現場で数字を扱う中で、決済・顧客管理・スケジュール管理などをツールで扱いこなせないと、現場に集中する時間が奪われることを痛感した
  • 管理業務をシステム化できるかどうかが、現場の質を左右すると気づいた

若原氏はこの経験を独立後の土台と位置づけている。

店舗運営を経験していなければ、独立後にもっと苦しんだはずだと本人は振り返る。

独立 店を持たずに拠点を増やすという発想

2024年5月、34歳。若原氏はフリーランスとして独立する。

  • 最初はレンタルジムを借りて活動を開始
  • ご縁を大切にし、未活用スペースを借りてパーソナルジムを開設

契約は固定賃料ではなく、売上の一部をスクール側に支払う形式。固定費のリスクを負わずに拠点を持てる。

  • ジム会員様の多くは、テニススクールのご縁を起点としながらも、実際の指導成果に納得した会員様からの紹介・口コミによって広がっている
  • 名古屋・池下への出店も、スタッフのご縁と親戚の不動産業への一本の電話から、当日中に決まった。

若原氏はこの手法の再現性を明言する。

「ここまでの成功体験は、これから数多くの場面で、活かされると実感しております。そして、今後の展開として拡張可能と信じています。」

店舗を「所有」せず「借りる・組む」ことで拡大する。この発想が、若原氏の独立スタートの基盤としての支えとなっている。

これから挑戦する人へ

結論:現場スキルだけでは独立は回らない。準備不足が最初のつまずきになる。

  • 事務手続きは、想像以上に時間を取る
  • 決済・顧客管理・集客ページなど、ツール選定だけで複数の意思決定が発生する
  • これらは現場指導とは別の負荷であり、準備を怠ると現場に集中できなくなる

若原氏自身の言葉。

「現場以外ですべきことがとても多いから、最初に事前準備をしておかないと現場に集中することはできない。お客様に結果をプレゼントするのはやはり現場の質が大切。」

藤沢店長時代に管理業務を経験していたことが、この壁を軽減した数少ない要因だった。店舗運営の経験がないまま独立するトレーナーほど、ここでつまずくリスクが高い。

取材後記

若原氏の独立は、根性論や感動の物語では説明できない。

  • 顧客獲得:ヒアリングで悩みを引き出し、解決後の未来を見せる型を持っていた
  • 拡大戦略:店舗を所有せず、提携によって固定費リスクをゼロにした
  • 落とし穴:現場スキルとは別に、開業届・決済・管理システムという事務負荷が独立後に発生する

この3点目の負荷を下げることを目的に開発しているのが、dotnowだ。フィットネス事業者向けの会員・予約管理システムで、初期費用・月額費用0円、必要十分な機能に絞ることで即日導入できる。

Flag Gym(フラッグジム)

神奈川県横浜市保土ヶ谷区(テニスガーデンレニックス内)と愛知県名古屋市千種区(池下)に展開するパーソナルジム。テーマは「トトノウ」で、姿勢改善・機能改善アプローチによるパフォーマンスアップを提供する。お客様は、姿勢不良・筋力低下による腰・肩・膝痛などにお悩みの60~70代のお客様から、スポーツパフォーマンスを高めたい10代のジュニア層、ビジネスパフォーマンスや健康的なライフスタイルを求める30~50代まで幅広くアプローチ。プロテニスプレイヤーも通っています。

トレーナー全員がNASM-CPT(全米スポーツ医学アカデミー認定資格)を保有。トレーナースクールの講師も担当している。今後の展開としては湘南店の開店を計画中。人生を変えた湘南という場所から、ウェルネス文化を展開する拠点づくりへの挑戦を着目してほしい。

https://www.flaggym.jp

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